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絶版希少本 〈新版〉中国蘭花図鑑 自然と野生ラン2月号増刊
新企画出版局 発行 2007年 113ページ
※絶版
中国のラン170余についてフルカラーで紹介、人気品種、重要品種についてはそのみどころ、来歴など詳細な解説を付す。 巻末には格の高い中国鉢(蘭鉢/花盆鉢)海鼠釉など明代清代の最高級のもの、珍しいものなどをカラー写真で紹介、 付録 鉢の形とその呼称の項では、鉢の呼称・記述についての決まりごとについて、個々の鉢、縁や胴、足の形状とその呼称順序をわかりやすく図解するなど、愛好家必携の大変貴重な資料本。

【目次】 中国春蘭・一茎一花 蓮弁蘭 朶朶香 豆弁蘭 春剣蘭 杭州寒蘭 九華 中国鉢 付録 鉢の形とその呼称

■中国春蘭・一茎一花とは 一茎一花とは学名Cym.goeringiiのうち、17~18世紀以降、九華と並んで江蘇・浙江両省において培養と観賞の対象となった蘭を指す。以前はCym.forrestiiで登録され一その後分類上は日本春蘭と統合されてCym.goeringiiとなった。朶朶香、豆弁蘭はこの変種だが、ここでいう「一茎一花」はそれを含まないものとする。 園芸としての歴史も九華と同様で、自生地の分布もほぼ重なる。伝統的に江蘇・浙江省が本場、現在は湖北省や安徽省そのほかでも名品が発掘されている。有香だが湖北省など一部の産地の蘭は無香ともいわれている。 日本では大正末期、昭和ひと桁代から盛んに輸入され、京華堂の昭和12年版『蘭華譜』でくわしく紹介されている。戦後、中国蘭の復興と普及、啓蒙にもっとも貢献した黒崎陽大氏が著した『東洋ラン・花物』およびその他も、戦前の「蘭華譜」とともに不朽の古典といえる。ここではその『東洋ラン・花物』(黒崎陽人著・誠文堂新光社)より、ご本人の了解を得て引用・抜粋したものを紹介する。
東洋ランの分類 私たちが、平素なにげなく名を呼んでいる草本のなかには名称の末尾にランの字のつくものがはなはだ多いことに気づかれるだろう。しかし、そのすべてがラン(ORCHIDS)ではない。マツバランのようなシダ類や、クンシランのようなヒガンバナ科、その他いろいろのものを含めている。 また中国で「蘭」の字をあてる植物にもまったく別の草が入っているのだ。「蘭」の字はもともと「藺草」といってキク科のフジバカマを指し、その香りを貴んだものである。ラン科のなかの東洋ランの一群には花に高い香りをもつものがあるため「蘭」の字を移してこれに与え、ラン科のほうを俗に「蘭花」と呼ぶようになったのだ。 また「東洋ラン」の字も、園芸的に呼びならされた一般的な俗の名である。厳密に植物学的に分けると、東洋ランとは日本や中国などの東南アジア産のラン科シンビジウム属を指す。日本にも南は九州から四国、紀伊半島の太平洋岸にはカンランがシュンラン、キンリョウヘン、メランその他とともに混生し、シュンランは北海道南端あたりまで自生が見られる。 名品として私たちが珍重している品種は、何百年もかかって山から採取したもので、そのすべてが自然の力によって変化し、遺伝が確実となった原種である。自然の大きな働きによって生まれた東洋ランの名品は、それ自体が底知れぬ深さをもち、人間臭をいささかも感じさせない孤高の品格をもつゆえんは、ここに源を発するのであろう。 なかでも中国ランはもっとも古い歴史をもっていると同時に、その花の見方をもっともはっきりと系統づけている。何百年もたった現在の花を見る目が、その時代の方式にまったく同じだということは、ラン花の美は永遠性をもつともいえるだろうし、また、ラン花の見方は、その時代の先人達によって極めつくされたとも考えられる。確信をもってラン観賞の基準を作った審美眼に対して敬服するほかない。 そして中国ランの名品の一群はまことにすぐれた気品と風格をそなえているのである。
中国春ラン「一茎一花」 その名のとおり1本の茎に1輪をつける。ときに2輪をつけることもあり、これを双頭花と呼ぶが本質は1花である。単に「一花」(いっか)ともいう。 中国の浙江省餘姚・紹興を中心に、低山地帯などに自生する。ランといえばすぐにその香りを思うように古くから香りの高さを尊ばれてきたが、ランに香りのあるのは中国では当たり前のことなので、名品の観点は主として形と色彩におく。色彩といっても日本のように赤花や紫花をいうのではなく、ラン花のもつ本質の色(以下略)
・宋梅 そうばい 別名「宋錦旋梅」。1736~95年に浙江省の宋錦旋氏が発見。昭和3年頃に渡来。襟組正しい木姿にまん丸の花が凛々しく、一茎一花を代表する品種。本咲きの花は弁縁が覆輪状に透けてとくに気品に富む。花弁の丸さが最大の魅力であり、バック木から育てた株の初花など、力がない時のほうが丸く咲く傾向にある。とりわけ舌が如意舌に近い開花直後の花容が抜群であり、咲き始め数時間のうちに見てほしい。篠数に対する花つきがよくないこともあり、惚れ込む愛好家は何鉢も育て、毎年開花を待ち望むのだという。大株になったらそのままにせず、株分けをしてこまめに植え替えると少し改善する。
・桂円梅 けいえんばい ・鶴市 かくし 「桂円梅」は別名「賽錦旋」。昭和6年頃に渡来。肉厚平肩の梅弁花。今や隠れた名品としてひっぱりだこの人気。銘の「桂円」は竜眼という丸い果物を指す。過度の施肥は控えてまん丸に咲かせたい品種。
・天緑(梅) てんりょく(ばい) 1912年に餘姚から世に出る。昭和7年頃に渡来。現在流通しているものの大半は「宜春仙」(1918年に発見)。「蘭華譜」にも「宜春仙」が掲載されているという説がある。文献上では「梅弁」に分類されているものの、実際には梅弁とも水仙弁ともとれる花形。水仙弁である「宜春仙」との違いは、 【葉姿】「宜春仙」は暗い感じの濃い緑色、葉幅最大1cmほどの立ち上がりの涼しい半垂れ葉、10本程度の株でもさほど乱れない。丈は30cmほど。いっぽう「天緑」は一茎一花中、もっとも暴れ性で大型。少し黄色みを加え、葉幅1cmを超える幅広の“平葉”。立ち葉・垂れ葉・折れ葉を混じえる半垂れ葉で丈は40cmを超え、遠目に見てもそれと分かる。ここが見分けのポイント。 【花弁】「宜春仙」の咲き始めは淡緑色なので、この瞬間は「天緑」と見間違う。平肩内抱えですっきりとした花形。「天緑」はその乱れた葉姿からは想像できないほど丸みのある長円弁、平肩内抱え、花弁はゆったりとした曲線を描き、淡い緑色、周辺部に白い覆輪を感じる。左右5~6cmの大輪。 【舌】「宜春仙」は劉海舌気味に前に繰り出し、先端を背面に巻き込む。舌点はU字が多いが舌の中心部分に縦長の1点にも出ることがある。「天緑」の舌は先端部が尖ったスプーン状の如意舌で受け、2週間くらいはそのまま。老花に近づくと先端部分がやや垂れる。背面に巻き込むことは少ない。舌点はU字というより川の字がくっついて中央の1本が下がったように見える。
【中国全土に見る蘭の産地】 ▼中国蘭の産地 広い中国でも、蘭の産地は南部に限られていて、海沿いの江蘇省中部・安徽省中部・河南省南部・陜西省南部・甘粛省南部に横線を引くと、それが中国蘭の白生地の北限です。 海沿いの江蘇省・浙江省・安徽省は従前の一茎一花有香種の産地です。この南部では中国寒蘭・杭州寒蘭も自生しています。 奥の方、雲南省・四川省・貴州省・重慶市は「蓮弁蘭」「朶朶香」「豆弁蘭」「春剣蘭」など有香種の産地です。最近は旧来の一茎一花とともに、人気を集めつつあります(35ページ参照)。以前はそれらを「奥地のラン」と呼んでいましたが、現在では上記各々のように呼ぶようになっています。元々は衆議院議長でもあられた故・松村謙三さんが、日中国交回復前に中国政府の招きで訪中された折に、中国各地で買い集められた品々を友人達に分株され、蘭界にその存在が知られるようになった蘭です。近年、園芸文化の交流が深まるにつれて、中国から新しいルートで入ってくるようになりました。園芸的に独立命名するほどの品はまだまだ少ないのですが、在来品種や日本春蘭ばかり見てきた人の目には新鮮に見え、新しい分野として入手希望者も多く、マニアの間では静かなブームの様相です。 そのほかの地方は無香または微香の蘭の自生地で、湖北省中部以北・河南省南部には、日本春蘭や韓国春蘭と類似の無香の一茎一花が産します。九華の主産地も湖北省近辺です(チベット人民自治区やインド北部にも東洋蘭は産しますが省略しました)。 竹ノ内功忠(東洋蘭風来記より)

【九華】 九華はいわば文人趣味の蘭で、さして大衆にアピールするものではないと考えられていたが、文化大革命以後になってなぜか未曾有のブーム現象を呈し、新しい品種も相次いで各地から報告されるに至った。伝統的な整形花(いわゆるペタロイド)に限らず、近年は想像できる限りの変化を示す奇花も続々と発見されている。
九華愛培のルーツ ここで九華というのは学名Cym. faberiのことで、現在、中国では「蕙蘭」とか「夏蘭」と呼ぶのが普通である。ほかに「九子蘭」、「九節蘭」、「九華蘭」の名もあり、四川省の方言では「芭茅蘭」、雲南省では「火焼蘭」とも呼ばれている。 シンビジウム系の栽培が普及したのは陏・唐の後の宋代(10~13世紀)からで、蘇東坡の蘭と蕙に寄せる画讃は有名だし、その高弟である黄山谷が蘭を君子に比し、蕙に「士大夫の概あり」としたこともよく知られている。この「蘭」が一茎一花の春蘭であるのはよいとして「蕙」のほうは何なのか。不明な点はいくつかあるのだが、一般的にはこの九華を指すものと解されている。 13世紀に入ると「金樟蘭譜」が成立。 20余の命名品につき、それぞれ個別の特徴を記した画期的な資料だが文章だけで絵がなく、また記述に具体性を欠く。シンビジウム属の蘭を対象とするらしいが、どの種のことなのかを判定するのは困難である。 10年ほど後の『王氏蘭譜』でも事情は変わらない。 その後、栽培のみならず文芸の面でも蘭への関心は益々高く、宋末、元初には蘭竹の水墨画で名高い大家が輩出するが、もっぱら風韻を重んじたその描き方はやや類型的である。 清代に入ると江蘇省・浙江省を中心として春蘭と九華が本流を占める中国蘭の伝統が確立。年々選抜命名される個体を網羅した花譜が相次いで出版される。蘭画でも「鄭板橋」など揚州に蟠踞する文人墨客中に名手が輩出、類型的表現を脱し、九華もそれらしく描写されている。春蘭とあわせて「蘭蕙」と称し、「蘭」が前者、「蕙」ないし「蕙蘭」をもって後者を指す習慣が定着する。また、その両方を通じて「以弁論花」、つまり花被片(萼片と花弁)の形式によって優劣を論ずる鑑賞法が広く行われるに至る。 その場合の用語(主弁・副弁・肩・捧・鼻・舌・梅・仙・荷・竹葉弁・蝶弁・素心・桃腮素など)がすでに明代に普及していたことが、近年紹介された『南方幽芳録』という文献で明らかになり、反響を呼んでいるo雲南大理の旧王家のサロンに集まる雅客が愛培していた38種の銘品の記事で、永楽10年(1412)に成立しているが、残念ながら九華と同定しうるものは含まれていない。
■九華の自生地 江・浙両省を中心としたかつての自生地は近年沿海地方の大開発のため狭められて、今日では舟山諸島、奉化、四明、天台山系にわずかに残るくらい。産地としては湖北省・安徽省が主流となっている。しかしながら分布は中国全域にわたり、江西、河南、四川、雲南、湖南、広東、広西、嶺北(陝西、甘肅)、福建、海南から台湾、さらには貴州、山西省にもおよぶ(林下・林縁や草地という湿度と陽光に恵まれ、(以下略)

【蓮弁蘭】 学名をCym. lianpanと言い、雲南の多彩な春咲きの蘭類の中でもとくに世人の注目を集めています。花弁に入る7~9本の平行脈が目に鮮やかで、各種の色素がその問に集中し、弁型が蓮の花に似ていることからこの名を得ています。 原産地は地形が険しく山脈が縦横に走り、その間を3つの大河が貫流し、独特の地理的立体気候条件を構成していて、これが蓮弁蘭の特徴をもたらし、葉型、花色に変異を多くしています。葉幅は5ミリに及ばないものから1.8センチを越すものまであり、葉長は30~80センチで、立ち葉は抜き身の剣の如く、垂れ葉は鉢を抱くほどであると中国の本に記述されています。川の沿岸、標高の低い所は広葉の蓮弁蘭が多く、深谷、標高の高い所は細葉となり、細葉の花は澄んだ色で白花も多いようです。素心の発現率は広葉の蓮弁閙と比較してかなり多めです。したがって雲南の西北部一帯では、蓮弁蘭のことを「小雪蘭」と呼ぶ習慣があります。 開花は早春、通常-茎に2~3輪、花茎は高く伸び、花は大輪で花色鮮艶、葉姿優美、香りは馥郁としています。花色が豊富である上に性質強健、栽培は容易で自生地の気候の影響で耐寒性があるのが特徴です。花弁に7~9条の線脈が入るのも特徴で、日本の春蘭界では花弁の筋は嫌われるのが通常ですが、蓮弁蘭の花弁に入る筋はじつに魅力的で、我、がこの花を見る時に強く魅かれるほどに悩ましいものです。 竹ノ内功忠(東洋蘭風来記より)

【程梅】 ていばい 赤茎の首座たる名花。歴史の古い品種で清朝乾隆時代に江蘇省常熟の程氏なる医家が世に出したというのが定説。職前は一般に緑茎が好まれる傾向にあったが、最近はむしろ逆でとくに中国では伝統の赤茎、なかでもこの「程梅」が非常に人気となり、日本からも相当里帰りした。今や品薄で有名なくらいで、価格も高騰したまま。産地や採取選抜地は不詳。紺地強い平辺の垂れ葉に花軸は太くてくすんで見えるが、小柄は濃く紅に染まって、淨緑の五弁との対照が鮮麗である。短脚円頭、幅の広い外三弁が雄大な印象を与える。大一品とは対照的な梅形水仙であり、兜は硬く棒心が退化気味の合背、両側が唇弁の舷部に触れる。「穿腮」というべき形だが作がよければ唇弁は「放宕」一束縛なく伸びやかな趣きを呈し、五弁は「分葉」になるといわれている。 「分葉」というのは内弁・外弁が重ならず、接触せず、ましてや癒着などはしないことである。「果」は元来、鳥獣の巣穴をいう語だが、紋様の一タイプで三日月形を丸く配置したなかに親鳥や卵のあるデザインを指すようになり、次第に発展して、やがて植物の花の切断面の中に弁の配置を示す花式図に似たものに変化した。日本でいう英(ハナブサ)、井桁(イゲタ)、木瓜(モッコウ)なども「果」に属する。 中国蘭の選抜品はとかく中宮が凝りやすく、内弁の退化が進む傾向があって、蕊柱に癒着することもある。極端な場合は三弁一鼻頭となるが、伝統的な審美基準では好ましくないものと見なされるのである。 唇弁については龍呑舌(呑とは咽喉のこと)とも如意(尖如意仰舌)ともいわれるが、どちらも正しくて両立し得る。普通に咲いた「程梅」は唇弁も狭い尖如意舌で梅形水仙にありかちな欠点をまぬがれないのではあるが、不思議なことに葉姿と花の全体のバランスが絶妙で文句をいう気にならない。
ほか
【中国鉢】カラー写真図版より一部紹介 宜均藍釉(海鼠釉)花絵四方古盆 清代・葛徳和製 「海鼠釉」とは本来は均窯あるいは釣窯といい、中国河南省禹県(かつて釣県)の窯のものを指す。この釣窯/鈞窯/均窯の特徴は美しい青藍色の失透明性の釉薬が厚く施されること。写真の鉢は宜興に技法が伝えられて焼かれたもの。
浅絳彩磁四方花盆 清代・光緒年製 「絳」は深紅を意味し、浅い紅色の彩色を主体とした磁器。この技法は清代末期に登場。山水画技法が多彩に駆使されたものであり、器形とともに気品に満ちている。ただし、磨耗によってはげやすく、美麗なまま残されているものは少ない。
黄地釉花鳥工筆絵円形古盆 清代「大雅齋」 この黄地釉は清代皇帝の専用色とされていたもので、雅号「大雅齋」は慈禧太后専用の器物にのみ印されたきわめて珍しいものである。
五彩花盆 清代・乾隆年生 明代・清代を通じて、磁器にこのような極彩色の絵模様を施す技法は驚異的に発達する。こうした華麗な彩色の磁器は蘭鉢および水仙鉢、蓮鉢としては最高級だろう。
黄南京外縁丸 呂均窯外縁丸 呂均窯十二支画六角(一対) 呂均窯円下方 米泥外縁輪花 烏泥外緑輸花式 紫泥外縁雲足木瓜式 年窯胴紐縄縁丸 南京紫紅釉窯変丸 紫泥外縁胴紐丸 年窯胴紐縄縁丸 均窯外縁飾足正方(一対) 呂均窯浮彫牡丹文切立正方(一対)

【付録 鉢の形とその呼称】より一部紹介 鉢の呼称および記述には、一定の約束事があります。個々の鉢の形はもちろん、縁や胴、そして足の形状に対する呼び方、さらにその呼称順序にも決まりがあります。 緑寿庵陶翠・紫泥・外縁隅入・十二支釘彫額入・段足・長方(りょくじゅあんとうすい しでい そとえんすみいり じゅうにしくぎぼりがくいり だんあし ちょうほう)
[各部の名称の記述順序] 中国鉢の場合は、制作年代あるいは日本に渡来した時代によって「古渡」「新渡」などの語が初めに冠される 焼成された場所や窯元名、制作者の名前 無釉の場合は「烏泥」や「紫泥」などの泥質名(ただし今日では泥名は中国鉢にのみ限定して使用するケースが多い。したがって上の和鉢の場合、一般的には「紫泥」を記すことはない。ここでは分かりやすくするためにあえて記した)。釉薬が施されたものの場合はその釉薬名 縁(ふち)の形状を示す(「外緑」「内縁」いずれでもない場合は「切立」という)。また縁の隅に「隅入」や「隅切」などの装飾が施されているものはそれも示す 胴部分に施された装飾を示す。絵が描かれている場合はその図柄を示し、額面の様子も加える 足の形状を示す 鉢全体の形状は最後に示される。全体の形状に独特の特徴がある場合には、「丸」などの形を示す前に「古鏡式」や「輪花式」などの名を記す場合もある
尾張焼染付外縁猫足丸 (おわりやきそめつけそとえんねこあしまる) 「猫足」の形状 伊万里龍文外縁段足丸 (いまりりゅうもんそとえんだんあしまる) 「段足」の形状
黄交趾外縁雲足丸(きごうちそとえんくもあしまる) 「外縁」とは縁の部分が外へ張り出しているものをいう。 「外縁」に対して「外反」というタイプもあるが、これはやや腰高の鉢で上部に向かって外側に反っているものをいう。 「雲足」の形状 雲足とは文字どおり雲の形を彫り込んだもの。多くは二重の渦巻き紋となっている
寧窯外縁雲足輪花式丸 (ねいようそとえんくもあしりんかしきまる) 寧窯は「年窯」と記される場合もある。「輪花式」とは鉢縁部分から胴にかけて花弁状の彫り込み模様が施されたものをいう。花弁の数は12弁から16弁まである。よく似たものに古代の金属製の鏡に倣った「古鏡式」というものがあるが、一般的には花弁状装飾の数が少ない。 「雲足」の形状
和緑釉袋式半月足輪花式丸 (わりょくゆうふくろしきはんげつあしりんかしきまる) この鉢の場合、正確には八角状の各角が隅入になっているようであり、輪花と呼ぶには相応しくないかもしれない。「袋式」とは胴がふくらんだ袋のように、中間部が張り出しているものをいう。一般に袋式の場合、写真の鉢のように、縁の下部がいったんすぼまっているタイプが多い。「玉縁」とは縁部分が紐を巻いたように丸みを帯びたものをいう。 「半月足」の形状 足が文字どおり「半月」の形をしたもの。
華中亭道八白釉鋲打切足丸 (かちゅうていどうはちはくゆうびょううちきりあしまる) 「鋲打」とは太鼓胴鉢の胴に多い装飾で、丸い鋲を打ち込んだような浮き出し模様のものをいう。
「切足」の形状 いわゆる装飾がまったくなく、胴からそのまま足が伸びて一段の足になっているもの。またこの切足が胴の外側よりやや内側に入った部分に付けられているものもある。
ほか
<新版中国蘭花図鑑 索引>より 愛荷(あいか) 赤福(あかふく) 朝靄(あさもや) 明日香(あすか) 逸品(いっぴん) 逸品の縞 雲南乙姫(うんなんおとひめ) 雲南白鳥(うんなんはくちょう) 永楽山(えいらくさん) 円梅(えんばい) 黄金鳥(おうごんちょう) 汪字(おうじ) 汪咲春(おうしょうしゅん) 御歯黒(おはぐろ) 温州素(おんしゅうそ) 解佩梅(かいはいばい) かぎろひ 鶴市(かくし) 賀神梅(がしんばい) 喝釆(かっさい) 神の雫(かみのしずく) 唐子獅子(からこじし) 関羽(かんう) 寰球荷鼎(かんきゅうかてい) 寰球荷鼎の縞 観月楼(かんげつろう) 元字(がんじ) 関頂(かんちょう)撮影:横山進一 観梅(かんばい) 宜舂仙(ぎしゅんせん) 吉祥山(きっしょうざん) 九洲紅梅(きゅうしゅうこうばいい) 九章梅(きゅうしょうばい) 玉涛(ぎょくとう) 玉梅素(ぎょくばいそ) 玉屏葦笛(ぎょくびょうしょうてき) 金波素(きんおうそ) 銀稈素(ぎんかんそ) 金上梅(きんじょうばい) 金翠(きんすい) 金馬黄(きんばこう) 虞美人(ぐびじん) 黒珍珠(くろちんじゅ) 桂円梅(けいえんばい) 慶華梅(けいかばい) 憲荷(けんか) 剣湖菊(けんこぎく) 幻想(げんそう) 剣陽蝶(けんようちょう) 黄我(こうが) 黄貴(こうき) 光宮(こうきゅう) 紅玉花(こうぎょくか) 香玉蝶(こうぎょくちょう) 紅月(こうげつ) 孔子(こうし) 杭州胡蝶(こうしゅうこちょう) 拱宸大荷(こうしんたいか) 江南新極品(こうなんしんごくひん) 極品(ごくひん) 蔡仙素(さいせんそ) 崔梅(さいばい) 簪蝶(さんちょう) 四喜蝶(しきちょう) 四喜蝶の虎斑 紫極(しぎょく) 始皇帝(しこうてい) 紫芳山(しほうざん) 紫宝蓮(しほうれん) 秀月(しゅうげつ) 十字星(じゅうじせい) 縮竜梅(しゅくりゅうばい) 春鶯(しゅんおう) 春剣大富貴(しゅんけんだいふうき) 春望(しゅんぼう) 春蕾(しゅんらい) 詳字(しょうじ) 小打梅(しょうだばい) 小打梅の覆輪 濆蘂蝶(しんずいちょう) 秦梅(しんばい) 翠一品(すいいっぴん 一茎一花) 翠一品(すいいっぴん 杭州寒蘭) 翠蓋(すいがい) 翠蓋蝶(すいがいちょう) 翠蓋の縞(すいがいのしま) 翠鶴(すいかく) 蘂蝶(ずいちょう) 瑞梅(ずいばい) 仙遊(せんゆう) 泉緑梅(せんりょくばい) 宋梅(そうばい) 素蝶(そちょう) 西湖梅(せいこばい) 西神梅(せいしんばい) 赤茎翠桃(せっけいすいとう) 雪山梅(せつざんばい) 雪姚荷素(せつようかそ) 雪蓮(せつれん) 仙霞(せんか) 大一品(だいいっぴん) 大富荷(だいふうか) 大富貴(だいふうき) 丹賀蝶(たんがちょう) 端憲梅(たんけいばい) 端秀荷(たんしゅうか) 丹荷鼎(ダンホディン) 知足素梅(ちそくそばい) 張荷素(ちょうかそ) 珍蝶(ちんちょう) 月天心(つきてんしん) 鄭孝荷(ていこうか) 程梅(ていばい) 適圓(てきえん) 天興梅(てんこうばい) 天翔(てんしょう) 点心(てんしん) 天水冠(てんすいかん) 天青(てんせい) 点蒼梅(てんそうばい) 濆梅(てんばい) 天平白蘭(てんぴょうはくらん) 天緑梅(てんりょくばい) 桃渓荷(とうけいか) 萢山荷(とうしゃんか) 桃飛鳳(とうひほう) 虹姫(にじひめ) 南陽梅(なんようばい) 梅翠(ばいすい) 白帝城(はくていじょう) 白麗(はくれい) 白悠(はくゆう) 白輝雪山(はっきせつざん) 馬龍峰(ばりゅうほう) 飛蝶(ひちょう) 飄洋荷(ピョンヤンフ) 富華梅(ふうかばい) 富紫荷(ふうしか) 風来蝶(ふうらいちょう) 舞蝶(ぶちょう) 碧龍奇蓮(へきりゅうきれん) 碧龍紅素(へきりゅうこうそ) 紅秘鏡(べにひきょう) 紅竜字(べにりゅうじ) 望仙峯(ぼうせんほう) 墨秀峰(ぼくしゅうほう) 舞姫(まいひめ) 萬字(まんじ) 明月峡(めいげつきょう) 桃山(ももやま) 楊貴妃(ようきひ) 揚氏素(ようしそ) 楊氏素の中透け 姚妃紅(ようひこう) 余胡蝶(よこちょう) 余胡蝶の覆輪 餘姚第一梅(よちょうだいいちばい) 龍王(りゅうおう) 龍字(りゅうじ) 隆昌素(りゅうしょうそ) 緑雲(りょくうん) 緑雲天空(りょくうんてんくう) 緑雲の覆輪 緑英(りょくえい) 緑宝素(りょくほうそ) 緑茎翠桃(りょっけいすいとう) 老十円(ろうじゅうえん) 老染字(ろうせんじ) 老代梅(ろうだいばい) 楼蘭(ろうらん 一茎一花) 楼蘭(ろうらん 杭州寒蘭)
※機種依存文字等、一部似通った漢字にしている部分あり

★状態★ 2007年の古い本です。 外観は通常保管によるスレ、開きじわ程度、余白部に経年並ヤケありますが、カラー写真図版良好、目立った書込み・線引無し、 問題なくお読みいただけると思います。(見落としはご容赦ください)

<絶版・入手困難本>オークションにも滅多に出ない、貴重な一冊です。 古本・品にご理解のある方、この機会にぜひ宜しくお願いいたします。

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